会派と違う結論は難しい、でも信念も曲げられなかった
2021.9.30…今日は9月議会最終日で本会議討論・採決でした。市長提出議案については、令和3年度一般会計補正予算(第6号)で先日このブログに記載の通り、圏央道久喜スマートICについてはまだ疑問はあるものの、この補正予算の該当部分は調査・検討に係る経費のため、賛成をしました。問題は議員提出議案の意見書についてで、会派と違う結論をするため、討論をして自分の考えを表明しました。
私は議員になる前から、厚生労働省に所属する衆議院議員の公設秘書だった関係上、医療に特に関心を持って専門的に勉強してきました。もちろん医師が地方議員になることもありますので、他にも専門的に医療を扱う方は当然いらっしゃるでしょうが、私もこの道では負けないと言うほど専門性を持ってありとあらゆる講演会・勉強会に参加し、医師から直接いろいろなことを教えて頂きながら、もう20数年になります。
今回、問題の意見書は本年5月に参議院本会議で可決した改正医療法に関係するもので、簡単に言ってしまうと、地域医療に重大な影響を与える病院の病床を安易に削減しないで、また医師を中心に医療従事者が長時間労働を強いられている現状があるけれどそう簡単に一律に扱わず、地域医療の現場の現実をしっかり捉えた上でこの問題を扱ってという内容の意見書だと捉えました。そこで何が問題なのかを少しここで解説してみます。※この改正医療法は、4つの項目に分かれており、この「医師の働き方改革への対応」に合わせて「地域の実情に合わせた医療提供体制の確保」、「医療養成課程の見直し」「持ち分の定めのない医療法人への移行計画認定制度を延長する取り扱い」が論点なのだが、その内、今回の意見書は前2つを取り上げています。
この2021年改正医療法は、医師の長時間労働を問題視して対策を講じています。そして、どうしてもやむを得ない場合に高い上限時間を適用する医療機関を指定する制度を創生するものなのですが、私は本来なら医師の長時間労働の実態や短縮の取り組み状況を分析するとともに、その根本にある医師不足や現状長時間労働にならざるを得ない体制を解消するためにどうすれば良いのか、大学病院の医師の引き上げなどの現状にも目を向け、勤務医の時間外・休日労働時間の短縮を着実かつ計画的に進めるために、自治体や医療機関にとって必要かつ十分な支援を行っていくことこそを優先すべきだと思っております。また、年間1,860時間まで認める場合があるというその数字にも驚きますが、960時間の過労死ラインというものもありますけれど、私がもっと重きを置いているのは(ここが何より重要と思っているポイント)、「医師が医師として医療行為を行うのに心身共に健康かつ健全な状態を保つこと」の確保を何よりも優先すべきということで、医師が疲弊し疲れきって勤務医という立場を離れてしまったり、またこれから勤務医を目指そうとする者にも影響があることは良いことではなく、どうも監督・担当行政省庁である厚生労働省は、医師不足、特に医療に偏在があるというような認識を本当に持っているのか、どこに問題の所在を置いているのか、医療費削減を優先するがために地域医療の実態に目を向けていないのではないかと疑問を持つことが多いのです。今回の改正医療法についても、審議過程において与党議員からも疑問を投げかけられてと同時に、21項目もの附帯決議が付され、内15項目がこの医師の働き方改革関連であることからみても、私は非常に重く受け止めております。
また、もうひとつの論点になっている病床削減や病院統廃合にも係る「地域医療構想・医療計画の見直し」についても、全日本病院協会が述べているように、「医療計画の見直しは新型コロナの感染拡大により対策を考える必要が生じたものだが、逆に、地域医療構想の推進については、新型コロナにより慎重な対応が迫られる状況になっている」のであって、政府答弁の「平時と有事の医療提供体制のバランス」を大事にしながらも、附帯決議にもある「医療提供体制に係る課題を十分に踏まえ、地域の医療提供施設相互の機能分担・業務の連携、医師の地域間・診療科間の偏在の是正などに係る調整のあり方など医療提供体制の確保に関し必要な事項を検討すること」が大事になってきます。さらに言えば、病床機能再生支援制度に消費税を財源に用いるなどは、消費税増税をするにあたって「社会保障・税一体改革において社会保障の充実のために使う目的」で引き上げたことを鑑みると、安定財源の名のもとに範囲が拡がってしまうことに非常に違和感があり、今後も税率が上がっていくことが目に見えているといえます。
こうしたことを総合的に考えると、こうした意見書を地域医療を担う病院が在する地方自治体議会から提出しておく意義は大きいと私は考えて賛成しました。これに関してはなんら後悔の念などは持っておりません。
ただ、会派としては、会議で他の仲間は否決を決めていましたので、要職についている私がみなさんと違う結論を表明することは、これはこれで、政策的な信念とは別の葛藤があったことも事実です。でも、これも筋だけはキチンと立てておこなっており、それが私の議員として曲げられないものでもあるのです。黙って適当にということは私には出来ず、ひとつひとつ向き合って逃げることが出来ないので、自分のスタイルを変えることは今後もおそらく出来ないものと思います。このスタイルを通して進んでいきます。
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